歯周病とは

歯周病とは

歯周病は、30歳以上の成人の約5人に4人が患っていると言われている、歯ぐきの中の骨が溶ける病気です。「沈黙の病気」と呼ばれるほど自覚症状が感じられない病気であるために、重度になるまでほったらかしになっている人が少なくありません。歯周病を予防するには、いかに早く発見し、治療するかがカギとなりますので、早めの検診をお勧めします。

≪1つでも当てはまるときは、お早めに受療されることをお勧めします≫
1. 歯磨きのとき、歯肉から出血はありませんか?
2. 歯肉の色が変わったり、腫れたり膿が出たりしていませんか?
3. 口臭は気になりませんか?
4. 1本でもグラグラする歯はありませんか?
5. 歯肉が下がって歯が離れてきているような感じはありませんか?
6. 歯並びや噛み合わせには変化ありませんか?
7. 糖尿病にかかっていませんか?
8. タバコを吸っていますか?

歯周病の主な原因
歯周病の直接の原因はプラーク(歯の汚れ)ですが、その他、歯ぎしり、食いしばり、噛み合わせ、遺伝、タバコ、糖尿病などが歯周病の進行を早める要因となり、これらの原因が重なり合って歯周病を発症します。

直接原因となるプラークは、「1mgの中のプラークの中に1億個の細菌がいる」といわれるほどの細菌の温床。この数値は驚くことに、大便に含まれる細菌数より高いのです。

歯周病の発症メカニズム

歯周病は、細菌によって引き起こされる感染症です。歯と歯ぐきの間の歯周ポケットに細菌の塊(プラーク)が溜まると、細菌が出す毒素で歯肉が刺激されて炎症を起こします。やがて、歯槽骨などの歯周組織が破壊され、歯がグラグラして噛めなくなり、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病の進行度
●健康な状態の歯肉歯周病の進行度
歯肉はピンク色をしていて、歯と歯肉の間に目立った隙間がなく、引き締まっています。歯周ポケットは2mm以下の状態です。

●軽度歯周病歯周病の進行度
歯周ポケットは3~4mmほどになり、ポケット内に歯垢や歯石が溜まっています。そのため歯肉が赤く腫れ、出血が見らることもあります。このころから歯を支える歯槽骨も吸収し始めます。

●中等度歯周病歯周病の進行度
炎症が進行して歯周ポケットが4~6mmほどの深さに達します。歯肉が赤く腫れ上がり、口臭や出血、不快感が目立ってきます。歯槽骨がかなり溶けてしまい、歯がグラグラし始める段階です。

●重度歯周病歯周病の進行度
歯周ポケットが6mm以上になると、歯肉は化膿して真っ赤、もしくは赤紫色になり、歯のグラつきが激しくなります。歯槽骨がほとんどなくなっている段階なので、歯を支えられなくなり、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病の治療

歯周病の治療歯周病の治療は大きく3つに分かれます。1つ目は、プラークや歯石の除去。これらは通常の歯磨きだけでは落とせない頑固な汚れなので、歯科医院でのケアが不可欠です。

2つ目は、正しいブラッシングを身につけることです。せっかく頑固な汚れを除去しても、食事や日常生活の中で汚れは必ず再付着します。そういった日常的な汚れが「頑固な汚れ」になってしまわないよう、プラークコントロールをしていくのです。

3つ目は、歯周病の再発を防ぐために口腔内の環境づくりをしていきます。具体的には、汚れが付着しにくくなるように詰め物を作り直したり、噛み合わせの調整をしたりといった方法です。また、歯周病が進行している場合には、歯と歯を繋いで強化する方法もあります。

歯周病の治療はこのように、「削って詰めたらほぼ終了」といった単純な治療ではありません。歯周病の進行度合いにもよりますが、治療終了までにはある程度長い時間が必要です。ですので当院では、歯周病の治療の前には十分な説明を行っています。どうぞ安心してご相談ください。

歯周病治療の主な流れ歯周病の治療
1.精密検査
歯周ポケットの測定 、レントゲン診断 、問診(局所的、全体的な疾患など) 、噛み合わせのチェックなどを行います。

2.スケーリング・ブラッシング指導(プラークコントロール)
精密検査の結果をもとに、まずはスケーリングによって歯の表面のプラークや歯石を除去し、同時に十分な歯磨き指導を行います。当院ではこの歯磨き指導を重視し、かなりの時間をかけています。患者さんみなさんが十分な実力を身につけられるまで、何回でも指導いたします。

3.ルートプレーニング
スケーリングとプラークコントロール後に歯周病の状態をチェックして、その結果によってはルートプレーニングを行います。スケーリングは歯の表面の歯石を除去をする治療ですが、ルートプレーニングは、歯ぐき内部に入り込んだ歯石を除去するために使われます。

炎症が強い部位に対して1回の治療で3~4歯ずつ、歯肉内に隠れている歯石を丁寧にかき取ります。

4.再評価検査
ルートプレーニング終了後、どの程度炎症が改善されているか確かめるために、再び精密検査を行います。

5.再評価後
炎症が落ち着いて症状の改善が見られる場合は、一応の治療を終了して定期検診でメインテナンスしていきます。炎症が残り、症状の改善が認められない部位がある場合は、歯周外科手術や歯周組織再生療法を行います。

再評価後に行う歯周組織再生療法

エムドゲイン法エムドゲイン
欧米人に比べて日本人の歯肉は薄いため、骨再生法の中には、手術が困難だったり術後の細菌感染が懸念されるケースがあります。そこで研究・開発されたのが「エムドゲイン法」です。これは、歯周病に侵された歯周ポケット内部の汚れや細菌を取り除いた後、エムドゲインゲルを注入して歯周組織を再生させる治療法です。

「エムドゲイン」とは、スウェーデンで開発されたタンパク質の一種で、子どもの成長期には欠かせない物質です。現在、世界中に普及していて、感染症などの報告がなく、安全で治療効果が高いとされています。

予防&再発防止のキーワードは「セルフ&プロ」

セルフ&プロ歯周病は、一応の治療が終了しても安心はできません。何故なら、ケアをしっかり継続させなければ再発してしまう病気だからです。

そして、歯周病の原因であるプラーク(歯垢)を常にコントロールしていくためには、歯科医師や歯科衛生士による「プロフェッショナルなケア」と、患者さんご自身による毎日の「セルフケア」、この「連携プレー」が最重要です。歯の健康のために、私たち歯科医療者と一緒に頑張っていきましょう。

カウンセリングをおこなっております

アクセス